Chemchem ya Amani TANZANIA

 

絵本『Utafanya nini?』について

絵本『Utafanya nini?』
絵本『Utafanya nini?』
先月の幼稚園でのタンザニアのおはなし報告の中で出てきた『Utafanya nini?』という絵本について紹介させていただきます。
この絵本は、実は9月に、元青年海外協力隊員の司書隊員であった久保さんという方に10冊、チェムチェムの関わる子供たちのためにと寄付していただいたものです。
本当はすぐに紹介したかったのですが、大切な想いの込められた絵本をどう紹介したら良いものかと考えているうちに、時間が経ってしまいました。

この絵本は、久保さんと、想いを共有するもう一人のデザイン隊員さんによって任期中に作成されたものだそうです。

タンザニアの子供たちは、「絵本」に触れる機会がほとんどありません。農村部に至っては、家庭では買えない、図書館もない、学校にもない、と、絵本に触れたことのない子もたくさんいます。
そんな状況に心を痛め、彼女は図書館で勤務しながら、仕事の合間に一週間に5か所の施設を訪問し、移動図書館をされていたそうです。
 その訪問先のひとつである孤児院で、施設の人に言われた「ここにいる子どもはいつも親がいないことで寂しく、不安な思いをしている。それをあなたが来ている間だけでも忘れさせて欲しい。」という言葉が忘れられず、任期満了で自分が訪問することが出来なくなる前に何かできないか、考えていたそうです。
その想いを知ったデザイン隊員さんから「絵本を作っては?」と声を掛けてもらい、文章を久保さん、イラストをデザイン隊員さんが手掛け、お二人で制作されたのがこの絵本だそうです。

 「Utafanya nini?」(あなたなら何がしたい?)は題の通り、「もし鳥だったら何がしたい?」「もしお金持ちだったら?」と次々に問いかけていく絵本です。質問ごとに、タンザニアの子供たちが応えそうな「解答例」のようなページが続いています。

読んでまず、想像力を刺激し、夢を膨らませてくれる素敵な絵本だなぁ!と思いました。
これは子供たちに読み聞かせながら、あーだこーだと話し合ったら、きっと盛り上がって楽しいだろうなぁと思いました。先日、幼稚園の子供たちに読ませていただき、実際に大変盛り上がりました!

『遊びながら心を豊かにできる力が絵本にはあります。悲しさや不安も自分の心次第で変えられることを知ってほしい。石ころ一つでも楽しいものにする力が自分の中にあることを知ってほしい。という願いが詰まった本です。沢山笑って、いつかこの本の記憶や読んでもらった時の温かい気持ちが、子ども達が育つ力になってくれたらと願っています。』
これが、この絵本に込められた、久保さんのタンザニアの子供たちへの想いです。

任期終了間近で出来上がったこの絵本を、巡回していた施設へ配り一度ずつ読まれたそうです。
『自宅から4時間かけて(内3時間は徒歩なんて今では信じられないです)行ってた保育園では、トイレで子ども達が、もしもウンチだったら?!って話してるよー。って先生から大笑いされて、とっても嬉しかったのを覚えています。どこの子どももウンチ大好きですね。』と久保さん。
まず3時間徒歩で巡回されていたことに驚きでした。私は村落開発普及員でしたので、バイクに乗れない雨季は片道2時間を徒歩で村まで行っていましたが、司書隊員で、しかも本来の業務の合間に3時間も歩くというのは、相当なタンザニアの子供たちへの想いが無いと出来ないことだと思います。
そんな久保さんの訪問は、孤児院や保育園の子供たちにとってどれだけ楽しみだったことでしょう。彼女が任期満了で現地を離れるとき、どれだけの人が心を痛めたでしょう。そんな残されたタンザニアの人たちのために、久保さんが残したのがこの絵本なのです。子供たちはきっと、久保さんに出会ったこと、久保さんが読んでくれた絵本、そして残してくれたこの本を心の糧に、成長していくのだと思います。
本当に素敵な活動をされたと思います。

そんな想いが込められた大切な絵本なのですが、手元に置いてあるよりも、役に立ててもらいたい、と、チェムチェムに10冊、寄付してくださったのです。次回タンザニア訪問の時には必ず、この本を背負って、チェムチェムで支援をしている子供たちの通う小学校へ届けたいと思います。その時には是非、読み聞かせも出来たらと思います。

久保さんからの寄付は絵本に留まりませんでした。一緒に作成されたデザイン隊員さんも承諾してくださり、その後タンザニアで出版されたこの絵本の印税を寄付してくださったのです。
印税はいらないから価格を安くしてほしい、という久保さんの願いは叶わず、結局高価なものとなってしまったそうですが、その印税はどこかに寄付を、というお二人の想いで、チェムチェムに寄付してくださいました。
こちらの寄付のおかげで、現在卒業を控えている高等教育を受けている子供たちの学費未納分も賄えそうです。

久保さん、デザイン隊員さん、本当に、本当に、ありがとうございました。

  • posted by naomaru さん
  • 2015-12-21 15:56
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  • コメント数 (2)

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コメント一覧

あさんて!

naomaru さん

頼もしい発言。エンべに負けないでね!よろしく!

次回も…

かぶとやともこ さん

  • かぶとやともこ さん
  • 2015-12-31 5:20
絵本…色んな方の思いが一つになった本だったんですね。次回のタンザニア訪問も、是非ご一緒させて下さい。安心して下さい、本、背負いますよ!